就労移行支援の退所手続きとは?確認すべきことや退所後の選択肢も解説
就労移行支援を利用している方の中には、退所を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、退所前に確認すべきことや退所の手続き、退所後の選択肢について解説します。
【このコラムを読んでもらいたい方】
- 就労移行支援の退所を検討している方
- 退所手続きについて詳しく知りたい方
- 退所後の選択肢について知りたい方
【このコラムを読んで得られる情報】
- 就労移行支援の退所に必要な手続き
- 退所を決める前に確認しておく内容
- 就労移行支援を退所した後の選択肢
就労移行支援の退所に必要な手続き
現在通所している就労移行支援を退所する場合、基本的には就労移行支援事業所のスタッフに「辞める」と意向を伝えれば手続きをすることができます。事業所に対して公的な書類や届出を提出する必要はありませんが、事業所が用意した「利用終了届」や「退所願」などの書類の記入(印鑑やサイン)を求められることが多くなっています。
事業所によっては「退所の30日前までに申し出る」「本人が手続きに来所する」といった個別のルールが設けられている場合もありますので、事前に手続きについて確認しておく必要があります。
なかなか辞めさせてもらえないケースもある
一方「辞めたい」と相談したときに「もう少し頑張ろう」と引き止められるケースも多くあります。これには、次のような理由が挙げられます。
①本人のため(訓練の成果が出ているからなど)
②事業所の利益や成績のため(一部の悪質な事業者)
このような状態になったときは、どのように対応していけばいいのでしょうか。次項で詳しく解説していきます。
スムーズに退所するためのポイント
就労移行支援事業所を退所するにあたっては、まずは退所の決意を固めてから申し出るようにしましょう。自分の中で決めきれていなければ明確な態度を示せず、結局辞められない、言いくるめられてしまうということもあります。
また、退所の意向ははっきり伝えるようにしましょう。遠回しな表現や、遠慮がちな表現では、ただの「相談」と受け取られてしまいかねません。良くも悪くも、辞めるという決断は自身の責任です。「辞める」という意思表示をしっかりと行いましょう。
最後に、予想される質問への回答を用意しておきましょう。例えば、次のような質問をされた場合です。
- 退所する理由は?
- 退所した後はどうするの?
いざそうなったときに慌てずに済むよう、対処法をあらかじめ考えておくのもおすすめです。
辞めさせてもらえない場合の対処法
退所の決意を固めて明確に意思を伝えても、強く引き止められてしまい退所できず、自分の力ではどうにも解決できないという場合も考えられます。そういった時は、次のような対処法があります。
- 家族や相談支援専門員、担当ケースワーカーに相談し、一緒に話をしてもらう
- 市区町村にある障害福祉課に相談する
- 都道府県の「運営適正化委員会」に相談する
ご自身の希望通りに辞められるよう、周囲と相談しながら進めることをおすすめします。
そもそも就労移行支援を退所したいと思う理由
そもそも、就労移行支援を退所したいと思う理由は何でしょうか。退所する理由を明確化することは、スムーズな退所手続きのためにも、自分の今後を考えるためにもとても大事です。
改めて自身の「退所したい理由」について考えてみましょう。
これまで退所を希望した方があげた理由については、大きく次のようなものがありました。
- 体調が悪化し、通所を継続できなくなったから
- 就労移行支援のカリキュラムが自分に合っていないから
- 事業所の人間関係が自分に合わないから(スタッフ、他の利用者)
- 金銭的な問題により通所を継続することが難しくなったから(生活費が足りない、家庭の状況が変わった)
体調などご自身の問題のほか、事業所との相性なども退所を希望する理由になったようです。
退所を決める前に確認したいこと
就労移行支援を退所する前に確認しておきたいことは以下の二点です。よほど急を要する場合でない限り、事前準備をしたうえで退所するようにしましょう。
- 通所を継続できる方法はないか
- 退所後にどうするのか
それぞれについて、詳しく説明します。
通所を継続できる方法はないか
まずは通所を継続できる方法を探してみることです。せっかく通っている事業所ですから、本来であればカリキュラムを修了して就職するのが理想と言えます。そのため、本当に退所以外の解決方法はないのか探ってみましょう。
例えば、体調の問題であれば「通所頻度を週5日から週4日に減らす」、カリキュラムや人間関係の問題ならば「支援者に相談し、改善してもらうように伝える」、金銭面の問題なら「福祉制度の利用検討や、家族に援助を依頼する」といった解決方法が考えられます。
もし自分から提案することや制度の手続きが難しい場合、市区町村の障害福祉課の窓口や相談支援機関の担当者に相談することで、解決策が見出せる場合もあります。
退所後にどうするのか
仮にこれまで通所を継続していた就労移行を退所した場合、人によっては日中のメインとなる活動がなくなります。
先々のことを考えた上で計画的に退所するのであれば良いのですが、単に「行きたくない」という気持ちだけで安易に辞めてしまうと、生活リズムが崩れたり、目標を見失ったりして社会復帰が難しくなる可能性もあります。
病気の治療に専念するといった場合の退所は別ですが、もし活動できる状態で先々の予定が未定ならば、退所後にどうするのか事前に考えておきましょう。
就労移行支援を退所した後の選択肢
就労移行支援を退所した後の選択肢には、次のようなものがあります。
- 他の就労移行支援事業所に通う
- 就労継続支援に通う
- 就職する
それぞれについて詳しく説明していきます。
他の就労移行支援事業所に通う
カリキュラムや人間関係の問題で以前の事業所を退所していた場合は、他の就労移行支援事業所に通うのがおすすめです。
途中で退所した人も、多くの自治体では利用可能期間(原則2年)の範囲内であれば、残りの期間で通所することができます。例えば前の事業所を3カ月で辞めた場合、残り21カ月間は他の事業所を利用することができます。
前の事業所が合わなかった原因を自分なりに分析し、次の事業所選びに活かしましょう。次を見つける際には必ず見学や体験利用をし、自分の希望に合っているかを前回以上に細かく確認しましょう。
就労継続支援に通う
金銭的な問題で前回の事業所を退所した場合は、就労継続支援に通うという方法もあります。
就労継続支援には、雇用契約を結んで賃金がもらえるA型と、雇用契約なしで工賃がもらえるB型があります。どちらも利用期間の制限はないため、一定の収入を得ながら長期的に通うことができます。
就労継続支援の詳細はこちらの記事をご参照ください。
就職する
やりたいことが見つかった場合や、すぐに収入を得なければならないといった場合は、自力で就職する方法もあります。
ただし、就職活動は障害の有無にかかわらず大変なものです。条件の良い求人は応募者も多いので、希望通りに進むとは限りません。自力での就職が難しい場合は、障害者専門のエージェントやハローワークを頼るという方法もあります。
いずれにしても、焦って就職するとミスマッチが発生し転職を繰り返すことになります。可能であれば、就労移行支援で自己管理やビジネススキルの基礎を固めたうえで就職できると良いでしょう。
よくある質問
最後に、下記のようなよく寄せられる質問について解説します。
- 就労移行支援で、強制的に退所させられることはありますか?
- 退所した後で、もう一度利用することはできますか?
それぞれについて詳しく説明していきます。
就労移行支援で、強制的に退所させられることはありますか?
基本的に事業所のルールを守って通所している限り、強制的に退所させられることはありません。ただし、次のような場合は退所になる可能性がありますので、注意しておきましょう。
- 利用料金を滞納しており、支払わない
- 事業所の施設や備品に損害を与える
- スタッフや他の利用者に危害を加える
- 入院等の事情により、一定期間以上(※事業所による。概ね3カ月程度)の通所が難しい
退所した後で、もう一度利用することはできますか?
例えば次のような場合が考えられます。
- 就職が決まり退所したが、その仕事をすぐに退職してしまった場合
- 体調の悪化により退所したが、回復したため再度通所したい場合
これらの場合、最終的には自治体の判断にはなりますが、2回目も利用できるケースが多いです。ただし、原則としてこれまでの利用期間はリセットされないため、1回目の利用期間と合わせて2年までに限り通所することができます。
就労移行支援の退所は慎重に検討しよう!
今回は、就労移行支援の退所手続きや事前に確認すべきこと、退所後の選択肢について解説しました。
就労移行支援に通えるのは貴重な機会なので、退所は慎重に検討する必要があります。事業所が合わないのであれば、他の事業所も探してみましょう。
ノードワークスでは就労移行支援事業を行っています。無償で昼食を提供している上、就労移行支援がある綾瀬市は通所交通費助成があるなど経済的な面でのメリットもあります。
就職はもちろんのこと、就職後も仕事を継続できるように定期的なサポートを行っているため、安心してご利用いただけます。ぜひ一度見学にお越しください。
また、生活や就職において困りごとがありましたら、ホームページの「お問い合わせ」欄から、もしくはお電話にてご連絡ください。
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