就労移行支援は精神障害のある方におすすめ!サービス内容やメリットを紹介
就労移行支援は、うつ病や統合失調症など精神障害のある方の就職をサポートしてくれる制度です。本記事では、就労移行支援のサービス内容やメリットについて解説します。
【このコラムを読んでもらいたい方】
- 就労移行支援の利用を検討している方
- 精神障害の方によくある悩みについて詳しく知りたい方
- 就労移行支援でできることや利用の流れについて知りたい方
【このコラムを読んで得られる情報】
- 精神障害の方が抱えやすい悩み
- 就労移行支援事業所で支援してもらえる内容
- 就労移行支援を利用して就職した方の事例
精神障害とは
精神障害とは、精神疾患のために精神に障害が生じ、日常生活や社会参加に困難をきたしている状態のことを指します。代表的な種類や症状は以下のものがあります。
・統合失調症
被害妄想、幻聴、意欲や自発性が低下し閉じこもりがちになるなどの症状があります。思春期・青年期に発症することが多く、長期にわたるため福祉的な支援が必要となる人もいます。
・気分障害
うつ状態では、憂うつな気分・意欲の減退・自責的で悲観的な考えが見られ、不眠や食欲低下などの症状もあらわれます。躁状態では、爽快気分、過剰な活動性、浪費などのトラブルの発生が見られます。
・パーソナリティ障害
著しい性格の偏りによって、物事の受け取り方や対人関係の取り方、感情や衝動性のコントロールの障害が見られます。本人や周囲の人々に苦痛や困難をもたらす傾向があります。
精神障害のある方によくあるお悩み
精神障害のある方によくあるお悩みには、以下のようなものがあります。
- 体調や症状に波がある
- 周囲の理解を得にくい
- 人間関係のトラブルが起きやすい
- 仕事が長続きしない
1つずつ詳しく見ていきましょう。
体調や症状に波がある
精神障害のある方の多くは体調や気分の波が激しく、自分自身の力だけではコントロールすることが難しいです。人によっては過去に経験した失敗を引きずってしまい、ストレスによって症状が悪化することもあります。
例えば、うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、自分が価値のない人間のように思えるなどの症状が出ます。一方で躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりします。
周囲の理解を得にくい
精神障害は身体障害のような目に見える障害とは違って、他人から見た時に気付かれにくい障害です。症状については本人でも気付かないことがあるため、本人が抱える困りごとに気付いてもらえなかったり、努力が足りないと誤解されるなど周囲の理解を得るのが難しいこともあります。
さらに、症状は同じように見えてもその背景にある病気はさまざまであるため、同じ障害だからといって一括りにすることはできません。
人間関係のトラブルが起きやすい
例えば気分障害の人は、気分が高揚しているときに衝動的な行動をとってしまったり、怒りっぽくなったりすることがあります。その他には、助けてくれる人に依存する、感情の行き違いにより激しく反発する、リストカットをする、自殺未遂を仄めかすなどの問題行動が起きることもあります。
こうした行動が続くと、本人を理解し味方になろうとしていた周囲の同僚や家族も疲れ果ててしまいます。
仕事が長続きしない
精神障害をお持ちの方の中には、体調の悪化や人間関係のトラブル、仕事内容のミスマッチ、金銭的な問題など、さまざまな原因によって1つの仕事を長く続けられない人も多くいます。
仕事が続かないことで経済的・精神的に不安定になり、さらにストレスがかかることによって心身の状態が悪化していく…という負のスパイラルに陥りやすい傾向です。
就労移行支援なら精神障害のある方の就職をサポートしてくれる
就労移行支援とは、障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスの1つです。厚生労働省の資料によると、就労移行支援事業所は全国に約3,000カ所あり、35,000人以上の人が利用しています。
- 就労移行支援でできること
- 対象者
- 利用の流れ
それぞれについて詳しく説明していきます。
参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」
就労移行支援でできること
就労移行支援でできることには、以下のものがあります。
・就労に向けたトレーニング
就労に向けて必要なプログラムを受講し、職業準備性を高めていきます。
・職場見学/実習
自身に合った業種や職種・職場環境を知るため、実際に「職場見学」や「職場実習」を行います。
・就職活動/面接練習
就職活動のサポートとして「応募書類の作成支援」や「面接練習」を行います。
・定着支援
就職した後にも、相談対応(仕事や人間関係の悩み、生活リズムに関する相談)や企業への訪問を行うなどし、長期的に働けるよう支援します。
対象者
就労移行支援は誰でも利用できるサービスではありません。利用には、原則として以下の2点を満たした対象者である必要があります。
・18歳以上65歳未満で一般企業への就職を希望している方
・身体障害(肢体不自由、内部障害など)、知的障害、精神障害(統合失調症、うつ病など)、発達障害(注意欠如・多動性障害、アスペルガー症候群、自閉症など)、難病(障害者総合支援法の対象疾病)がある方
就労移行支援事業所によっては、精神障害や発達障害に特化した施設もあります。また、障害者手帳が無くても自治体の判断で利用できる場合もあります。
利用の流れ
まずは、自分にあった就労移行支援事業所を探す必要があります。事業所は各地にあるため、自身で調べる、市区町村役場の福祉課などで相談するなどして探すのがおすすめです。
次に、気になる事業所があれば実際に見学や体験に行ってみましょう。就労移行支援事業所によってはプログラムの内容や雰囲気が異なるので、必ず自分の目で見てから選ぶことが大切です。
利用先が決まったら、受給者証の申請と取得を行います。受給者証は各行政窓口の福祉課で申請が可能です。
その後、利用したい就労移行支援事業所との利用契約を結び、実際にサービスの利用が開始となります。
就労移行支援を利用して精神障害のある方が就職した事例
次に、就労移行支援を利用して精神障害のある方が就職した事例を紹介します。
- 引きこもり状態から就職に成功したAさん(統合失調症)
- 仕事との向き合い方を身に付けて正社員登用されたBさん(うつ病・睡眠障害)
引きこもり状態から就職に成功したAさん(統合失調症)
・30代(男性):統合失調症
コンビニのアルバイトをして働いていたAさんは、夜勤で生活リズムが乱れたことにより体調を崩してしまい、統合失調症を発症しました。その後は入院し、治療・服薬によって症状が無くなり落ち着きました。
症状が落ち着いて以降は外に出ず、家に引きこもる生活をしていましたが、定職に就きたいと思い立ち、担当のケースワーカーに就労移行支援について教えてもらいました。
その後、Aさんは就労移行支援の利用を開始しました。初めは週4日・半日から通所を始めることにし、訓練ではパソコンスキルの習得を目標に講座に参加しました。また、生活力の向上として朝型の生活リズムに慣れることに努めました。
利用開始から半年経ったころから企業見学や職場実習に参加して力を付け、最終的に面接を経て第一志望の企業から内定を得ることができました。
仕事との向き合い方を身に付けて正社員登用されたBさん(うつ病・睡眠障害)
・40代(男性):うつ病・睡眠障害
事務職での激務が原因で体調不良になったBさんは、うつ病と睡眠障害と診断され、退職することになりました。しばらくして体調が落ち着いてきたころ、役所に相談へ行った際に就労移行支援の紹介を受け、通所することとなりました。
就労移行支援では、スタッフと一緒に体調不良の対策を考え、実践することで徐々に体調が安定していきました。
その後、就職サポートもあり契約社員として再就職できましたが、数カ月後に業務のキャパオーバーで悩んでしまいます。
その際、定着支援として就労移行支援のスタッフに相談した結果、勤務時間や業務量について調整され、働きやすい環境になりました。1年後には勤務態度が評価され、正社員に登用されることが決まったそうです。
精神障害のある方が就労移行支援を利用するメリット
次に、精神障害のある方が就労移行支援を利用するメリットについて説明します。
- 働くための自己管理ができるようになる
- 自分に合う仕事が見つかる
- 就職をトータルでサポートしてもらえる
1つずつ詳しく解説します。
働くための自己管理ができるようになる
長期的に勤務するためには、日常生活の管理や健康維持が必要不可欠です。就労移行支援では、健康管理や生活リズムを整えるためのアドバイスを行っているため、一般就労に向けた準備を進めることができます。
また働く上では自身の変化に気付き、障害特性を自身でコントロールする力も必要です。就労移行支援では、自己管理やセルフコントロールの訓練も実施しています。自身の特性を理解したうえで対処方法を実践できるのは、就労移行支援を利用するメリットと言えます。
自分に合う仕事が見つかる
就労移行支援を利用するメリットとして、自分に合う仕事を見つけやすいことが挙げられます。就労移行支援の訓練では自己分析を深める講座を行っている施設もあるため、自分自身の長所や短所、仕事で活かせる強みなどについて詳しく知ることができます。
また、キャリア面談や企業実習を通して、自分に合った仕事をじっくり考えることができます。将来についての不安や実習してみたい企業があるといった場合は、積極的に支援者の方に相談してみましょう。
就職をトータルでサポートしてもらえる
就労移行支援では、就職活動のサポートとして、応募書類の作成補助や面接練習などの選考対策もしています。そのため一人で就職活動をした場合と比較して、採用される確率が高まります。
自分から配慮事項や条件交渉を伝えるのが苦手な方も、就労移行支援を利用することで支援者から企業に対して要件を伝えることができます。
また定着支援を行っている事業所であれば、就職後も一定期間フォローしてもらえます。
就労移行支援なら「ノードワークス」
今回は、精神障害のある方には就労移行支援の利用がおすすめであることについて解説しました。就労移行支援として利用する通所先については慎重に検討する必要があります。事前に見学したり体験に行ったりするなどして、自分に合った事業所を探してみましょう。
ノードワークスでは就労移行支援事業を行っています。無償での昼食提供を行っており、事業所のある綾瀬市では、通所交通費助成があるなど経済的な面でのメリットもあります。
就職はもちろんのこと、就職後も仕事を継続できるように定期的なサポートも行っているため、安心してご利用いただけます。もし気になった方は、ぜひ一度見学にお越しください。
また、生活や就職において困りごとがありましたら、ホームページの「お問い合わせ」欄から、もしくはお電話にてご連絡ください。
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