就労移行支援の利用に年齢制限はある?例外が認められる条件も解説
何だか仕事がうまくいかない、仕事が長続きしないなど、仕事に関する困りごとを訓練や就労サポートを通じて就職に繋げてくれる場所が、就労移行支援という場所です。今回は就労移行支援を利用するにあたって、年齢制限の有無や条件などについて解説していきます。
【このコラムを読んでもらいたい方】
- 就労支援について詳しく知りたい方
- 就労移行支援を検討中の方
- 就労移行支援の利用者層について知りたい方
【このコラムを読んで得られる情報】
- 就労移行支援の年齢制限について
- 就労移行支援を利用する年齢層及び障害種別について
- 高齢の障害者が利用できる制度について
就労移行支援とは
就労移行支援は、障害のある人の社会参加を支援するための法律である「障害者総合支援法」に基づく、国の障害福祉サービスになります。障害や難病のある人で、一般企業への就職を希望する人が利用することができます。
就労移行支援では、就労に向けたトレーニングや、職場見学・実習、就活などをサポートしてくれます。全国に約3,000カ所の事業所があり、35,000人以上の人が利用しています。
就労移行支援の年齢制限
就労移行支援の利用は、原則利用開始時点で18歳以上65歳未満の人が対象となります。
ただし、以下の場合には自治体の判断によって例外が認められる場合があります。
例外①18歳未満の利用
18歳未満の障害児が就労移行支援の利用を希望する場合、管轄の児童相談所長が「就労移行支援の利用が適当である」という意見書を市区町村長宛に届け出を行います。
市区町村役場で意見書が認められた場合は、15歳以上でも就労移行支援を利用することができます。
参考:厚生労働省「各支援機関の連携による障害者就労支援マニュアル」
例外②65歳以上の利用
65歳以上の人で、初めて就労移行支援を利用することはできません。
ただし、65歳以上の人で65歳に達する前日において就労移行支援サービスの支給決定(役所にて就労移行支援の利用許可)を受けている場合には、引き続きサービスを利用することができます。つまり、65歳以前より就労移行支援を利用していて、利用中に65歳を迎えた場合はそのまま利用が可能です。
参考:厚生労働省「就労移行支援」
就労移行支援の利用者の年齢層
引用:厚生労働省「就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」
最も多い年代は20歳以上30歳未満であり、全体の3割を占めています。次いで多いのが30歳以上40歳未満であり、全体の2割程度です。一番少ない年代は60歳以上であり、全体の1割ほどとなっています。
これらの結果から、働き盛りの若年層であるほど就労移行支援を利用しており、その数も年々増えていることがわかります。
就労移行支援の対象となる障害・難病の例
就労移行支援を利用するには、下記の障害や難病をお持ちの人が対象になります。
身体障害
身体機能の一部に不自由が生じている状態のことの総称です。
- 肢体不自由
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 心臓機能障害
- 腎機能障害
- 免疫機能障害 など
知的障害
知的な遅れが、概ね18歳までに発現するもので、日常生活や社会生活において読み書きや計算などに困難が生じます。個人差が大きいため、詳細な定めはありません。
精神障害
心や脳に先天的もしくは後天的な機能の不具合や気質などにより障害が生じ、日常生活を送る上で困難や制約がかかってしまいます。主な障害は下記の通りです。
- 双極性障害
- うつ病
- 統合失調症
- 高次脳機能障害
- パーソナリティ障害
- てんかん など
発達障害
脳の発達や機能障害が原因とされ、先天的に「強み」や「弱み」が極端であり、日常生活を送る上で支障をきたしてしまう状態のことを指します。後天的に発症することはなく、成人してから初めて気がつくといったケースも少なくありません。主な障害は下記の通りです。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- 注意欠如多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD) など
難病
現地点で治療が困難であり、厚労省が障害者総合支援法によって定める指定難病に罹患されている人が対象です。
- もやもや病
- パーキンソン病
- 潰瘍性大腸炎
- 亜急性硬化性全脳炎
- クローン病
- ミトコンドリア病 など
就労移行支援を利用する流れ
就労移行支援を利用するまでの一般的な流れは、以下の通りです。
1,問い合わせ
まずは、就労移行支援事業所を探します。ウェブサイトからのお問い合わせはもちろん、各自治体や役所にある障害福祉課に相談すると、通うことのできる事業所を紹介してくれます。
2,見学・体験
利用したい、気になる事業所が見つかったら、実際に足を運んで見学や訓練内容の体験をしてみましょう。
就職の相談や、どのようなことを行っているのか、雰囲気が自分に合っているかなど、
ウェブサイトの情報だけでは判断がつかないことも、足を運び自分の目で確認することでわかるようになります。不安点や疑問など直接スタッフへ質問もできるため、利用後のミスマッチを防ぐことにもなります。
3,受給者証の申請・発行
利用する事業所を決定したら、入所手続きを行います。
障害福祉サービスを利用するには、その証明となる「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」が必要となります。この受給者証の中には、個人情報のほか、サービス内容や自己負担限度額、利用日数などが記載されています。
受給者証発行まで、自治体によっては1~2カ月かかる場合もあるため、担当者と相談しながら早めに手続きを進めましょう。
4,利用契約
受給者証の発行が完了したら、事業所と利用契約書を取り交わすことでご契約となります。
5,利用開始
スタート時期やタイミングなどご本人と相談し、当施設のご利用開始となります。
就労移行支援の利用についてよくある質問
就労移行支援でよく聞かれる質問について解説します。
Q:障害者手帳がなくても利用できますか?
A:できます。
就労移行支援の利用に必要なのは、障害者手帳ではなく「障害者福祉サービス受給者証」になります。これは簡単に言うと、障害福祉サービスを利用する証明書のようなものです。
障害者手帳がなくても、医師の意見書や特別支援学校の通学実績があれば利用できる場合があります。しかし市区町村によっても判断が異なるため、予め区役所の障害福祉課へ確認を取ると良いでしょう。
Q:65歳以上の障害者が利用できる制度はありますか?
A:あります。
障害福祉サービスの中に「就労継続支援B型」という事業所があり、こちらは年齢制限は設けられていません。
「就労移行支援」は、一般企業で就労するにあたり必要なスキルを訓練し就活を行う事業所であるのに対し、「就労継続支援B型」は就労の機会を提供し、且つ生産活動の機会の提供も行っている事業所です。
「就労移行支援」の利用にあたって賃金は発生しませんが、「就労継続支援B型」は生産活動による“工賃”が発生します。
Q:18歳以上で在学中でも利用できますか?
A:以下の条件を満たせば利用することができます。
- 大学等の教育機関や地域の就労支援機関などによる就職支援が見込めない、または困難な場合
- 卒業年且つ、卒業に必要な単位の取得が見込まれる場合
- 本人が就労移行支援の利用を希望し、且つ就労移行支援を利用することで確実に就職できると市区町村が判断した場合
就労移行支援は、就職後もより長く職場定着できるよう「定着支援」も行っています。就職後もスタッフが面談等を通じて困りごとをうかがい、解決に向け企業と交渉を行います。スタッフが橋渡し役となってサポートするため、就職後も安心して働くことができます。
Q:休職中でも利用できますか?
A:一定基準を満たせば休職中でも就労移行支援を利用することができます。
基準は下記の通りです。
- 雇用先企業による復職支援が困難である場合
- 本人が復職を希望し、医師や雇用先からも復職が適切であると判断される場合
- 休職中に就労移行支援を利用することで最善のサポートを受けられる場合
これら全ての条件を満たすことが必要です。
利用条件を確認したら、まずは見学してみよう
就労移行支援を利用するには、障害や難病があることや、一般企業への就職を望む18歳~65歳までの人といった利用条件があります。これらの条件に該当する方であれば、就労移行支援の見学など、一度実際に足を運んで自分の目で確かめると良いかもしれません。
ノードワークスは「自分の“なりたい”を実現する」就労移行支援事業も行っています。就職することはもちろんのこと、就職活動だけでなく、生涯役立つスキルを身につけることを目指します。また、就職後は仕事を継続できるように定期的なサポートも行っているため、安心してください。
生活や就職において困りごとがある方は、ホームページの「お問い合わせ」もしくはお電話でご連絡ください。
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