就労移行支援は2回目の利用ができる?再利用の条件や注意点を解説
就労移行支援事業所とは、障害者総合支援法に基づいて提供される福祉サービスの1つです。一般企業への就職を目指す障がいや難病を抱えている人が、就職活動などのサポートを受けることができます。この記事では、就労移行支援事業所の概要や利用対象者の条件、利用することで得られるメリットなどを紹介します。また、どういった人におすすめなのか解説しています。ぜひ参考にしてください。
このコラムを読んでもらいたい方
- 就労移行支援を利用しようと考えている方
- 1度就労移行支援を利用し、再度利用を考えている方
- 2年間が過ぎ延長利用を行いたい方
このコラムを読んで得られる情報
- 就労移行支援事業所の2回目利用は可能なのか
- 就労移行支援事業所の2回目の利用条件とはなにか
- コロナ渦における特例措置の流れ
- 利用限度の2年間が終わった後の流れ
【結論】就労移行支援は2回目の利用が可能
就労移行支援は、障がいのある方が一般企業への就職を目指すために必要な訓練や就職活動をサポートしてくれる公的な福祉サービスです。利用にはさまざまな条件がありますが、結論から言うと2回目、3回目の利用も可能になっています。
基本の利用条件
就労移行支援を利用するには一定の条件を満たしたていなければなりません。就労移行支援の利用条件は、「18歳以上65歳未満の人」「障がいもしくは難病を抱えている方」「一般企業への就職を目指している」「受給者証を所有している(障がい者手帳は無関係)」の4つを満たした対象者です。
具体的な障がいや難病の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 精神障がい:統合失調症、うつ病、双極性障がい、不安障がい、てんかん、適応障がいなど
- 発達障がい:注意欠如・多動性障がい(ADHD)、アスペルガー症候群、自閉症など
- 知的障がい:知的障がいなど
- 身体障がい・難病:聴覚障がい、視覚障がい、肢体不自由、難病(障害者総合支援法の対象疾病)など
就労移行支援の利用条件には受給者証を所有していることが含まれているものの、障がい者手帳の有無は利用条件に関係ありません。
2回目の利用条件
就労移行支援事業所を2回目に利用する場合、1回目と通算して2年(24カ月)になるまでは何度でも再利用することができます。基本の利用条件は1回目と同じで、「18歳以上65歳未満の人」「障がいもしくは難病を抱えている方」「一般企業への就職を目指している」「受給者証を所有している(障がい者手帳は無関係)」の4つを満たした対象者が利用できます。下記はその1例です。
【1回目に10カ月利用していた場合】
24(上限利用月数)-10(1回目の利用月数)=14
14カ月が2回目の利用可能期間となります。
【その後、2回目の利用が6カ月だった場合】
14(上限利用月数)-6(2回目の利用ヶ月)=8
8カ月が3回目以降の利用可能月数になります。
法律で回数は制限されていないので、2年以内なら何度でも可能です。ただし、訓練の効果という意味では、なるべく中断せずに通って就職できるのがベストです。
就労移行支援事業所は、合計で2年間しか利用できないことを考慮しながら利用しましょう。
利用期間の延長
就労移行支援の利用上限である2年間利用しても、就職ができない方はいらっしゃいます。そのような場合は、利用期間の延長(最大1年間、原則1回)ができることがあります。
期間延長のためには条件があり、「就職活動を行っている人」や「採用が内定している人」「職場実習の途中の人」など、延長の必要性があると認められた場合に限られます。
誰でも期間を延長できるわけではありません。延長する際には、市区町村がこれらの通所状況を審査し、認められた場合に限り可能です。審査が通らない可能性も大きいため気を付けましょう。
コロナ禍における特例措置
コロナ禍の影響により、一般企業の働き方は急速に変化しました。現在実施している就労移行の訓練内容によっては対応できないケースも考えられるため、以下の点について例外を認める通達が出ています。
特例措置については市区町村の判断にゆだねられているため、必ずしも延長できるわけではない点に注意が必要です。
利用期間の延長は複数回可能
利用期間の延長に関しては「原則1回」とされていますが、過去令和3年度中は、最大1年間の範囲内で「複数回」の更新も可能となりました。それまでの支援内容を踏まえつつ、利用者本人及び労働市場の状況に応じて各市町村が対応を行いました。
引用・出典:厚生労働省「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について(第8報)」
延長により3年利用した後、リセットして新たに2年間の利用も可能
最大利用期間(延長1年間を含む)の3年間を利用した後でも、再度2年間の利用期間を支給される場合があります。
新型コロナウイルス感染症への対応に関わる働き方の多様化などを踏まえ新たな訓練等が必要になることもある観点から、利用者の状況等に応じて必要性を判断し、新たに支給決定を行えるようになっています。
引用・出典:厚生労働省「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について(第8報)」
就労移行支援の2回目の利用状況
実際の就労移行支援利用更新については、下図の通りです。
- 複数回利用は一律認めていない:6%
- 過去の利用期間を含めて標準支援期間(2年間)の期間内において複数回利用を認めることがある:29%
- 過去の利用期間を含めて標準支援期間(2年間)を超えた場合でも、複数回利用を認めることがある:51%
- その他:14%
実際の結果としては、半数以上の自治体が、2年を超えた場合でも複数回利用を認めることがあると回答しているため、「原則の2年以内」はそこまで厳しくないということがわかります。
就労移行支援で2回目の利用をする理由
就労移行支援事業所を2回目に利用するのは、次のようなケースが多くなっています。
- 1回目の利用中に体調不良で途中で辞めてしまった
通所ペースや不慣れな環境により体調不良を起こし、通所することが難しくなり退所してしまった後、通える状態になり再度通うケースです。 - 1回目の利用中に家庭の事情で途中で辞めてしまった
ご家族の仕事状況や、引っ越しなどやむをえない理由で退所してしまい再度通うケースです。 - 1回目に利用した就労移行支援事業所や支援員が自分に合わず、途中で辞めてしまった
自分が求めている支援と提供される支援のギャップや、スタッフとの相性等によって退所してしまい、別の事業所に通うケースです。 - 全てのカリキュラムを終えて一度は就職したが、やむを得ず退職してしまった
就職先でのトラブルや、仕事内容が合わなかった等でもう一度通所し、就活のサポートを行ってもらうケースです。
就労移行支援を2回目に利用する際の注意点
2回目に就労移行支援事業所を利用する際には注意点があります。
- 自分の障がいや病気に対応しているか
- 自分に必要なカリキュラムがあるか
- 通いやすい場所にあるか
- 事業所や支援員の雰囲気が良いか
- 就職実績や定着実績があるか
- 実際に見学や体験に行って、自分の目で見て決めることが大切
1回目に利用した就労移行の振り返りを行い、さまざまなポイントを見比べる必要があります。
1回目の利用を振り返る
2回目の利用を行う上では、1回目の利用の振り返りを行うことが重要になります。1回目の利用で就職(または就職後の定着)に至らなかった原因を分析し、改善策を立てることで、2回目の利用では同じ失敗を繰り返すことがなくなるからです。
例を挙げると、最初からハイペースで通って体調を崩したり、パソコンが苦手なのにIT系の就労移行支援事業所に通ってしまったなどが当てはまります。自分に合った就労移行支援事業所を選ぶ1回目の振り返りをもとに、2回目の利用では自分に合った就労移行支援事業所を選ぶことが重要です。
選び方のポイントは以下の通りです。
- 自分の障がいや病気に対応しているか
- 自分に必要なカリキュラムがあるか
- 通いやすい場所にあるか
- 事業所や支援員の雰囲気が良いか
- 就職実績や定着実績があるか
- 実際に見学や体験に行って、自分の目で見て決めることが大切
この振り返りと、ポイントを押さえ、2回目の利用先を選びましょう。
就労継続支援の利用も検討する
1度就労移行支援を経験し、就職が難しいと思うのであれば、一般企業への就職が困難な人を対象とした「就労継続支援」という福祉サービスもあります。「就労継続支援」には「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の2種類があります。
就労継続支援A型
一般企業で働けない障がい者が雇用契約を結んで働ける事業所です。就労移行支援や就労継続支援B型と同じく、障がい福祉サービスの1つです。
略称としてA型事業所、A型作業所などと呼ばれることもあります。通所ペースは1日3~6時間、週3~5日で通う方が多い傾向です。
就労継続支援A型では「雇用契約を結ぶ」という特徴があります。週3日から安定して通える人で「生活リズムを整えつつ、アルバイト程度の生活費を稼ぎながら社会参加したい方」に向いています。
メリット
- 月5~10万円の給料がもらえる
- B型事業所に比べると一般企業に近い環境で働ける
- 軽作業や単純作業などが多く仕事内容も比較的簡単
- 多くの人は無料で利用できる
作業内容は「データ入力、清掃、製造、検品」などの軽作業中心となっています。最近ではITなどに特化したWebデザイン、イラスト制作、動画編集などを行う事業所も増えてきています。
デメリット
- B型事業所に比べると作業や通所のノルマが厳しい
- 就労移行支援と比べると就職活動などの支援が薄い
- 就職率はB型事業所と比べると高いが、就労移行支援事業所ほどではない
就労継続支援B型
就労移行支援と同じ障がい福祉サービスの1つで、一般企業での就職や他の就労支援施設に通うのが難しい方に、働く場を提供するサービスです。略称としてB型事業所、B型作業所などと呼ばれることもあります。通所ペースは自分で決められ、週1~5日通い、1日1~6時間の作業を行う方が多くいます。
就労継続支援A型とは違い「雇用契約を結ばない」などの特徴があります。「就労移行支援で安定した通所ができず、就職できなかった方」に向いています。
メリット
- 月1~3万円の工賃がもらえる
- 就労移行支援や就労継続支援A型が難しい人でも通える
- 作業内容や通所ノルマのハードルが低い
- 自分自身が通えるレベルの事業所を探しやすい
- 多くの人は無料で利用できる
全国に13,000施設以上あるので、就労移行支援事業所(約3,000施設)や就労継続支援A型事業所(約4,000施設)より見つけやすく通いやすいという特徴があります。自分の体調に合わせて通所時間を組めるので、生活リズムや体調を整えていけます。
デメリット
- 能力によっては作業が簡単すぎる
- B型事業所から就職という流れは少ない
就職率はA型事業所や就労移行支援事業所よりも低く、就職にはあまり強くありません。また、就労継続支援A型・B型には利用期間や回数の制限がないため何度も利用できるなどの特徴があります。
出典:厚生労働省「障害者の就労支援について」
就労移行支援事業所ならノードワークス
就労移行支援の2回目の利用について、基本的な利用条件としては「18歳以上65歳未満」「障がいもしくは難病を持っている」「一般企業への就職を希望している」「受給者証を保有している」などが挙げられます。
就労移行支援の利用条件に含まれる受給者証は、申請から発行まで2週間~2カ月かかるため、早めの申請がおすすめです。就労移行支援事業所は各地にあるため、利用条件だけでなく、提供しているサポート内容なども含めて、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
ノードワークスは綾瀬・海老名エリアを中心にサービスを提供している就労移行支援事業所です。さまざまなカリキュラムを通して、仕事で必要なスキルや知識を身につけられます。また、職場・職種体験を通して仕事のイメージを膨らませることも可能です。
3つのワークからなるカリキュラム
ノードワークスでは3つのコースからなるカリキュラムを用意しています。
セルフケアコース~なりたい姿を明確にする~
現状を理解し、これから自分自身がどうなっていきたいのか、就職することだけでなくその後の生活・人生も含めて、自分がなりたい姿を一緒に考えていきます。自分自身がどのような特性を持っているのか、その特性とどう向き合っていけばいいのかを学び、自分のことを知ることで、これからやるべきことを明確化することが大切です。
ビジネスワーク~できることを明確にする~
自分自身が目指していきたい姿を明確にしたら、そのゴールに向かって具体的なスキルを身につけていきます。トライアンドエラーを繰り返していくことで、できること・できないことが明確になります。できることはもっとできるように、できないことはできるようにするための模擬ワーク・実践実習を行い、一歩ずつゴールへ向かいます。
就職準備コース~やるべきことを身につける~
実践的なスキルを身につけたら、いよいよ就職に向けて、具体的な活動を行っていきます。履歴書・職務経歴書の書き方や面接練習、企業分析など、実際の就職活動と同じ活動を行います。就職活動中はもちろん、就職後も定期的にスタッフがサポート。定期的な面接などを行い、就職後のお仕事が定着するよう応援します!
専門知識のあるスタッフ
ノードワークスには、社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得しているスタッフが在籍。障がいに関することや、就労移行支援についてしっかりとした知識を持っているので、安心して通っていただけます。
また、当施設は学校法人生蘭(せいらん)学園生蘭高等専修学校と連携しており、学校に所属している先生方がサポートしてくださいます。進路や就職はもちろん、カリキュラムやサービスに関して、より専門的な知識を持っているため、実践的なスキルも身につきやすい環境です。
就職後のサポート
ノードワークスの運営会社では、飲食事業や介護事業、教育福祉事業など、複数の事業を展開しています。就職前の職業体験や訓練の実施、異なる事業同士でのイベントの実施など、事業の垣根を越えたあらゆる交流を行い、通常の就労移行支援では体験できないようなカリキュラムの提供ができるよう整備しています。
また、障がい者グループホーム「らしく」も運営しており、アライアンスを組んでいます。ノードワークスの周辺地域に複数店舗があるため、就職後の生活や活動のサポートも可能です。
2回目の利用は、自分に合った就労移行支援事業所を選ぼう!
就労移行支援事業所の選び方で失敗したとSNSに口コミを投稿している人のなかには、「就労移行支援事業所の支援員との相性が合わずに失敗してしまった」ケースが多くなっています。人間である以上人との相性の良し悪しはあるため、相性が悪いことは仕方がないといえます。ただし、合わないと感じてもそのままにするのは避けましょう。もし支援員との相性が悪いと感じるようであれば、担当者を変更してもらえないか、相談するのもひとつの選択肢です。
就労移行支援事業所を選ぶ際は、見学したり、無料体験に参加したりしましょう。就労移行支援事業所の選び方としては、「自分の障がいや病気に対応しているか」「自分が必要とするスキルを身につけられるか」といった点がポイントです。今回の内容を参考に、ぜひ自分にあった事業所を見つけてください。
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