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就労移行支援の養成施設とは?一般型との違いや利用するメリットを解説

就労移行支援事業所を利用して就職を考えている人の中には、視覚障害者の人など、マッサージ師やはり師として国家資格を取得して働きたいと考えている人もいるでしょう。そこで今回は就労移行支援と養成施設について詳しく解説します。

【このコラムを読んでもらいたい方】

  • 就労支援について詳しく知りたい方
  • 就労移行支援の検討中の方
  • 視覚障害をお持ちの方

【このコラムを読んで得られる情報】

  • 就労移行支援と養成施設についての情報
  • 養成施設のカリキュラムについて
  • 就労移行支援のカリキュラムについて

そもそも就労移行支援とは?

就労移行支援とは、障害のある人の社会参加を支援するために設けられた「障害者総合支援法」に基づく、国の障害福祉サービスです。障害や難病のあり、一般企業への就職を希望する方が利用対象となります。

就労移行支援では、就労に向けたトレーニングや職場見学・実習、就活などをサポートします。厚生労働省の資料「障害福祉サービス等について」によると、令和4年12月時点で就労移行支援事業所は全国に約3,000カ所あり、35,000人以上の人が利用しています。

出典:厚生労働省「障害福祉サービス等について

対象者

就労移行支援の利用対象者は、原則として18歳~65歳未満の障害や難病を抱えている人となっています。具体的な障害名や種類、難病については下記の通りです。

  • 精神障害:統合失調症、双極性障害、うつ病、適応障害、パニック障害、てんかん、不安障害など
  • 身体障害:肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、難聴、内部障害など
  • 知的障害:知的な遅れ
  • 発達障害:自閉症スペクトラム障害(ASD)、アスペルガー症候群、注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、自閉症、広汎性発達障害など
  • 難病:難病(障害者総合支援法の指定難病など)

上記のほか、障害がある人で休職中の人も利用対象になります。また、自治体の判断によっては、障害者手帳を所持していなくても利用できる場合があります。

利用料

就労移行支援の利用料は、前年度の世帯収入によって異なりますが、利用者の9割は自己負担額ゼロで利用しています。自己負担額には3区分あり、区分に応じて上限額が設けられています。上限月額は下記の通りです。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(注1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

引用:厚生労働省「障害者の利用者負担
この表にある世帯収入とは、本人と配偶者までを指しています。このため、親は含ませません。通所する交通費については、原則自己負担です。ただし、一部の自治体では通所交通費に助成金が出る場合があります。詳しくはお住まいの市区町村役場の障害福祉課で確認しましょう。

また、就労移行支援を利用する場合は賃金や工賃などは発生しません。

就労移行支援には「一般型」と「養成施設型」がある
就労移行支援は細かく分けると、「一般型」と「養成施設型」の2種類があります。

養成施設型 一般型
対象 視覚障害者 身体障害・精神障害・知的障害
発達障害・指定難病の人
施設数 極めて少ない 全国で約3,000カ所
訓練 あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の資格取得が主 ビジネスマナーやPC訓練、対人スキルや作業訓練など多種
期間 3年(専門過程)
5年(高等過程)
最長2年の期間付

多くの障害種別の人を対象としている「一般型」に対し、「養成施設型」は視覚障害者のみの対象になります。その分「養成施設型」は施設数も僅少になっています。

訓練内容についても「養成施設型」はマッサージやきゅうといった技術や知識の習得が主です。一方「一般型」については、就職に必要なビジネス関連の訓練や作業、コミュニケーションスキルなど、さまざまな訓練を行っています。

利用できる期間も「一般型」は最長2年までが原則となっており、「養成施設型」に比べ短期間で就職を目指せる点が特徴です。

就労移行支援の養成型施設ってどんなところ?

視覚障害者の人があん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師として働くには、国家資格が必要になります。その資格取得のために、就労移行支援の養成型施設では必要な知識や技術の訓練を行っています。

就労移行支援事業を行っていますが、内容は学校教育法で定められた「専修学校」でもあります。例えば、埼玉県所沢市にある「国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局」などが挙げられます。

カリキュラム

就労移行支援の養成型施設で行われるカリキュラムには、どのようなものがあるのでしょうか。

ここで、あん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師の国家資格の取得を目指す養成型施設で行われている授業科目について、その一部をご紹介します。

〈専門課程〉3年制
・人文科学概論 ・東洋医学概論 ・あん摩マッサージ指圧基礎実習
・解剖学 ・医療概論 ・臨床実習
・生理学 ・関係法規 ・はりきゅうの歴史と理論

〈高等過程〉5年制
・社会科学概論 ・病理学概論 ・東洋医学臨床論
・保健体育 ・経絡経穴概論 ・地域理療療と理療経営
・公衆学、公衆衛生学 ・基本分野

また、一般的な専門課程の履修スケジュールは下記のような内容となっています。

・1年次:身体の働きや構造を学ぶ生理学や解剖学のほか、あん摩・マッサージ・はり・きゅうなど、基礎的な内容を学びます。

・2年次:さまざまな疾患に関する知識などを中心に学びます。疾患についての理療臨床医学のほか、疾患のメカニズムなどの病理学概論などを行います。また、応用実習も2年次より始まります。

・3年次:最終学年である3年次では、治療に関する内容を中心に学びます。健康の維持や病気の予防についての公衆衛生学、リハビリに関するリハビリテーション医学、あん摩やマッサージ、きゅうなどの歴史についてなどを学びます。また、実際に患者さんを治療する臨床実習も行っていきます。

では、時間割はどのようになっているのでしょうか。施設によって時間割りなどは異なりますが、1日の流れを見ていきましょう。

  • 8:45~9:00  HR
  • 9:00~9:45  1時限目
  • 9:55~10:40 2時限目
  • 10:50~11:35 3時限目
  • 11:45~12:30 4時限目
  • 12:30~13:30 昼休み
  • 13:30~14:15 5時限目
  • 14:25~15:10 6時限目
  • 15:20~16:05 7時限目
  • 16:15~17:00 8時限目
  • 17:00~ HR

卒業後の進路

就労移行支援の養成型施設にて必要教科を履修し、国家資格取得後の進路先としては、治療院やリラクゼーションサロン、整形外科やリハビリテーション科などへの就職が考えられます。また、治療院やマッサージ店などを開業できる可能性もあります。

就労移行支援を利用する人の7割は精神障害者

就労移行支援の「養成施設型」を利用するのは視覚障害者(身体障害者)です。一方「一般型」については、厚生労働省が公表している「就労移行支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」の資料によると、利用者の約7割が精神障害者が占めており、年々増加していることがわかります。

引用:厚生労働省「就労移行支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」

引用:厚生労働省「就労移行支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

近年は、うつ病や統合失調症などの精神障害、注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害の増加が指摘されています。これには、発達障害が広く認知されるようになり、社会に出て初めて発達障害に気が付くといった背景があります。

精神障害や発達障害がある人でも、就労移行支援(一般型)で本人の特性に応じた適切な支援を受けることで、定職に就き自立した生活が送れるようになります。

就労移行支援を利用するメリット

就労移行支援をりようするメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。ここからは代表的な利点を4つご紹介します。

働くための自己管理ができるようになる

就労移行支援では生活リズムを整えるための訓練やツールがあるため、規則正しい生活習慣が身につきます。感情ややる気に波がある人も、ON・OFFの切り替え方やリフレッシュの仕方についても訓練で学ぶことが可能です。

同じ障害でも特性の強さは異なることから、自身の障害特性にはどのようなものがあるのか、障害特性との付き合い方なども習得できます。自己理解が深まることで困りごとが起こらないよう事前に対処ができたり、セルフケアを行うことで自己管理ができたりするようになります。

ビジネスマナーや専門スキルが身につく

挨拶や言葉遣い、身だしなみなどの訓練を行い、社会人として求められる言動や行動を身に付けられる点も、就労移行支援を活用するメリットです。

また、就労で必要となる報・連・相などのビジネスマナーやコミュニケーションスキルなど、円滑に業務が遂行できるような技法を学び、実践力をつけることも可能です。就労移行支援「一般型」であればPCスキルやITスキル、「養成型」であればあん摩マッサージ指圧師やはり師といった国家資格の取得も目指せます。

職場見学や実習ができる

就労移行支援を活用すると、自身が希望する企業や職種の職場見学を事前に行うことができるため、職場への理解や雰囲気を知ることが可能です。自分の目で見て説明を聞くため、職場へのミスマッチを防ぐこともできるでしょう。

ミスマッチは体調不良や退職の要因にもなり得ます。職場環境や社内の雰囲気を事前に知ることができると、就職後も長期的に安定して就労できるようになります。

就職活動のサポートが受けられる

就労移行支援では、過去の経験や職歴から、利用者にとって望ましい職業選択やキャリア形成をサポートします。事業所によってはキャリアプランニングの資格を有するスタッフも在籍しているため、より実現性の高いキャリアプランを考えてくれるでしょう。

このほかにも、応募書類の添削や採用されやすい面接時の受け答えなど、面接対策も受けることができます。面接時は就労移行支援のスタッフが同席・同行できるようにするなど面接に関わる調整をしてくれたり、出勤時間や休憩時間といった入社後の職場環境の調整などもスタッフが行ってくれたりします。

就労移行支援を利用する流れ

就労移行支援の利用するまでの流れは、以下の通りです。

1、事業所へ問い合わせをする
まずは自身が気になっている事業所や利用を検討している事業所へ、ウェブサイトの問い合わせフォームまたは電話などで問い合わせをしましょう。

2、事業所の担当者から連絡
事業所見学に関する案内が事業所の担当者からきます。

3、事業所見学やカリキュラムの説明
事業所を訪問して、事業所の雰囲気や利用者層などを見学します。当日にカリキュラム等の説明もあるため、自分に見合ったものかどうか確認してください。

4、無料体験(希望制)
ご利用前に希望者に対して「無料体験」を行う事業所もあります。利用者と一緒にカリキュラムを受講することで、利用後の疑似体験をすることが可能です。

5、ご契約に関するご相談
ご利用の希望がある場合は、ヒアリングシート等を用いながら、困りごとや希望職種など、本人の要望についてヒアリングを行います。その際に利用に関する手続きも案内してもらえます。

6、利用に関する手続きも対応
利用に必要となる受給者証の発行手続きや利用に関する計画書の作成も、就労移行支援事業所のスタッフが一緒に行ってくれるので安心です。

一般型の就労移行支援なら「ノードワークス」

本記事では、就労移行支援の種類や利用するメリット、養成施設のカリキュラム、利用までの流れ等についてお伝えしました。

就労移行支援の養成型施設は、対象者が視覚障害者のみとなっていますが、専門性の高い国家資格を取得し就労したい人には有効な施設と言えるでしょう。

一方で、一般型施設は国家資格の取得に特化せず、就職に必要なスキルを全般的に訓練することが可能です。もちろん、MOSなど就職に有利な資格取得も目指せます。

ノードワークスは「自分の“なりたい”を実現する」就労移行支援事業所です。就職することはもちろんのこと、就職活動だけでなく、生涯役立つスキルを身につけることを目指します。また、就職後は仕事を継続できるように定期的なサポートも行っているため、安心してご利用いただけるでしょう。

ご興味のある方は、ぜひホームページの「お問い合わせ」もしくはお電話でご連絡ください。

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