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就労選択支援とは?就労移行支援との違いもやさしく解説

2022年の10月に「障害者総合支援法」の改正法が成立し、就労選択支援の創設はその中に含まれています。2025年10月から始まる予定の新しい制度であるため、未決定事項も多々あります。

2023年12月時点で厚生労働省から発表されている情報をもとに、検討段階のことも含めサービスの概要や対象者、利用期間などと併せて就労移行支援との違いをわかりやすく解説します。

【このコラムを読んでもらいたい方】

  • 就労移行支援事業のサービスを利用している方
  • 就労系福祉サービスの利用を検討している障害者やその家族

【このコラムを読んで得られる情報】

  • 就労移行支援とは
  • 就労選択支援とは
  • 就労選択支援が始まる背景
  • 就労移行支援と就労選択支援の違い
  • 就労選択支援についてよくある質問

就労移行支援とは

就労移行支援は、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの中の1つです。現時点で、障害のある人の就労を支援する就労系障害福祉サービスは、就労移行のほかに就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援があります。

サービス内容

就労移行支援事業所は障害や難病を抱える方の一般就労を支援し、就職に必要な知識やスキル向上のサポートを行う場所です。

まずは定期的に事業所に通ってもらい、生活リズムの安定や就労に必要な基礎体力を身につけてもらいます。また、コミュニケーションスキルやビジネスマナー、PCスキルなどの訓練を受講することで職業準備性を高めていきます。

就活準備が整ってからは実際の企業で職場見学や実習を行い、自分に適性がある職場を見つけることができます。また、就職活動のサポートとして履歴書など応募書類作成のアドバイスや、面接対策として模擬面接を行います。

対象者

就労移行支援の利用対象者は以下の条件に該当する方になります。

  • 18歳〜65歳で一般就労を目指す方
  • てんかんや気分障害などの精神障害、ASD、ADHDやLDなどの発達障害、身体障害や知的障 害などの障害のある方
  • 障害者総合支援法において対象となるパーキンソン病や亜急性硬化性全脳炎などの難病のある方

※就労移行支援は、障害者手帳をお持ちでなくても医師の診断や自治体の判断により利用することができます。

利用期間

就労移行支援は利用期間が決まっており、原則として2年間の上限があります。この間に就職で必要なスキルを習得し、就労を目指していきます。ただし、やむを得ない事情等により市町村に申請を行い認められた場合のみ、最長12カ月延長することができます。

就職するまでの期間は、本人の体調や訓練の進捗状況、職種や時期など就活の難易度によって、早い人で半年、多くの場合は2年近く訓練を行い就職されます。

利用の流れ

利用の流れには、下記のように5ステップあります。

1.探す
地域の役所にある障害福祉課に相談することや検索サイトで探すことも可能です。

2.見学に行く
ほとんどの事業所は、無料で相談・見学・体験を行っています。Webサイトやパンフレットだけでは判断できない事業所の雰囲気なども知っておきましょう。

3.事業所の比較検討を行う
利用を検討する事業所が複数ある場合は、見学や体験での印象をもとに比較検討を行いましょう。

4.障害福祉サービス受給者証を申請する
利用したい事業所が決まったら、お住まいの行政窓口で受給者証の申請を行います。

5.利用契約と利用開始
受給者証の発行が行われた後、利用する事業所と利用契約を行い利用を開始します。

就労選択支援とは

就労選択支援とは、働く力と意欲のある障害者に対し就労アセスメントを通して、希望や能力・適性に合った仕事探しや支援機関選びができるよう支援するサービスです。

障害者総合支援法における就労系障害害福祉サービスは現行で4つありますが、就労選択支援は、5つめの制度として2025年10月から施行予定です。

参考:厚生労働省・子ども家庭庁「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

サービス内容

就労選択支援では、作業場面などを活用し、本人の強みや課題、配慮事項を整理することで自己理解を促します。また、本人に対して地域における雇用事例や就労支援に関する情報提供を行います。そして、本人と整理した内容をケース会議で共有し、就労アセスメントを作成します。

アセスメント結果は就労選択支援利用後も効果的に活用されるよう、就労選択支援事業所は計画相談支援事業所や市町村、ハローワーク等と連携、連絡調整を行い共有します。

対象者

就労選択支援の対象となるのは、就労移行支援・就労継続支援などの障害者向け就労支援サービスの利用中または利用を希望している者で、年齢や障害種別に関わらず、希望者は全員アセスメントを行えるようにする予定です。

また、次の人は就労選択支援の利用が原則必要となります。

  • 2025年10月以降に就労継続支援B型を利用する予定の人
  • 2027年4月以降に就労継続支援A型を利用する予定の人
  • 2027年4月以降に就労移行支援の利用期間を超えて利用する予定の人

利用期間

就労選択支援の支給決定期間(利用期間)は原則1カ月です。ただし、下記の場合は最大2カ月に延長されます。

  • 自分自身に対して過小評価・過大評価があり、進路の決定に関して自己理解の改善に1カ月以上必要な場合
  • 体調や精神面が安定せず、進路の決定に1カ月以上の観察が必要な場合

また、支給決定期間(利用期間)の1カ月のうち、「作業場面等を活用した状況把握」は2週間以内を基本にすることが検討されています。

利用の流れ

就労選択支援の利用の流れは、現在のところ下記のように予定されています。

・障害者向け就労支援サービスの利用希望がある
・就労継続支援A型・就労継続支援B型の新規利用希望がある
・就労移行支援の標準利用期間(2年)を超える利用希望がある

就労選択支援の申請

就労選択支援の開始

・作業場面等を活用した状況把握
・多機関連携によるケース会議
・就労アセスメントの作成
・情報提供
・本人や家族にアセスメント結果の共有
・事業者への連絡調整

就労移行支援や就労継続支援などの利用開始

ただし、福祉サービスの利用が必要ないと判断された場合は、その他就労支援機関などの紹介を行います。

就労選択支援が始まる背景

障害者の就労を支援するサービスは、就労移行支援や就労継続支援A型・B型、就労定着支援がありますが、これらの就労系福祉サービスには以下の課題が挙げられます。

  • 一般就労や就労移行支援などに移れる能力が身に付いてきても、同じ就労継続支援A型・B型の利用を続けている
  • 就労移行支援や就労継続支援A型・B型利用の前に、どの就労系福祉サービスを利用するか選択する必要があるが、本人の能力や可能性を十分に把握できないため、適切な就労支援サービスに繋げられかったり就労が定着しなかったりする

これらの課題を解消し、これまで以上に質が高い就労支援の実現のために就労選択支援のサービスを開始することとなりました。

就労移行支援と就労選択支援の違い

ここまで就労選択支援の目的、対象者、利用の流れなどを紹介しました。ここからは、就労移行支援との違いについて簡単に解説します。

就労移行支援は、利用者の能力や適性などを評価する就労アセスメントも行っていますが、就職するためのトレーニングや就活などと併せて、総合的なサポートを行う場所です。

そして、就労選択支援は就労系福祉サービスの利用を希望している障害者に対して、就労アセスメントや就労アセスメントをもとに利用する事業所との調整を行うなど、就労系の福祉サービスを適切に選ぶための案内所のような位置付けです。

また、就労アセスメントはケース会議で共有を行い、複数の機関と連携することでアセスメントの質や中立性が担保されます。

就労選択支援についてよくある質問

就労選択支援はまだ開始されていない新しい制度のため検討段階のことも多い状況ですが、就労選択支援制度についてよくある質問は、下記のとおりです。

  • 就労選択支援は、誰が運営するのですか
  • どんな人が相談に乗ってくれるのですか
  • 他の機関が実施したアセスメントの取り扱いはどうなりますか

それぞれの内容について、詳しく説明していきます。

参考:厚生労働省・子ども家庭庁「就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

就労選択支援は、誰が運営するのですか

就労選択支援を実践できるのは障害者の就労支援において、「過去3年間において3人以上、一般就労として障害者を雇用させている」など一定の経験・実績があり、地域の雇用事例などを把握している組織になります。

具体的には、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、障害者就業・生活支援センター事業の受託法人、自治体設置の就労支援センター、人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)による障害者職業能力開発訓練事業を行う機関、障害者に対する就労支援の経験及び実績を有すると都道府県等が認める事業者が検討されています。

どんな人が相談に乗ってくれるのですか

障害者向けの就労支援サービスの利用を希望し、就労選択支援のサービスを受ける場合、支援の質を保つため「就労選択支援員養成研修」を修了した「就労選択支援員」が相談に乗ってくれます。

ただし、養成研修が始まってもすぐには人員が確保できないので、最初の2年間は経過措置をとることを検討しています。

他の機関が実施したアセスメントの取り扱いはどうなりますか

就労アセスメントは就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センター、特別支援学校などでも現在行われています。そのため、他機関でアセスメントを実施することが想定できます。

しかし、本人の負担を減らすために活用項目を限定し、原則として1年以内ではありますが、他機関で実施されたアセスメントを活用できるようにすることが検討されています。

就労に関するご相談は「ノードワークス」へ

今回は、就労選択支援と就労移行支援の違いを紹介しました。就労選択支援は2025年10月から始まる新しいサービスですが、就労移行支援でも就労についての相談ができます。

ノードワークスでは就労移行支援事業を行っています。「就職したいけれど、自分一人では不安」「就労移行支援事業を利用したいけれど、どこに行って何をすればいいのかわからない」といった悩みや疑問に丁寧に対応しております。もし気になった方は、ぜひ一度見学にお越しください。

また、無償での昼食提供や近隣にある生蘭学園との連携、卒業後の受け皿としてのグループホーム利用案内も行っています。就職することはもちろん、就職後も仕事を継続できるように定期的なサポートも行っているため、安心してご利用ください。

生活や就職において困りごとがありましたら、ホームページの「お問い合わせ」もしくはお電話でご連絡ください。

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