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就労移行支援は引きこもりでも利用できる?利用条件やメリットを解説

就職は考えているけれど外に出る勇気がなかったり、今までの生活から脱却できずに悩んでいたり。障害ではないけれど、生きづらさを感じ自宅でこもっている人も年々増えています。

今回は引きこもりの人でも就労移行支援を利用できるか詳しく解説していきます。大人の引きこもりについてや、利用条件、メリットなど詳しくご紹介しますので、ご自身の状況とあわせてご覧下さい。

【このコラムを読んでもらいたい方】

  • 現在引きこもりの方
  • 将来に不安を感じているが、一歩踏み出せない方
  • 生きづらさを感じ自宅から出られない方

【このコラムを読んで得られる情報】

  • 引きこもりの現状や特徴
  • 引きこもりの人の就労支援について
  • 障害の有無に関わらず利用できる福祉サービス
  • 就労移行支援を利用する有効性について
  • 社会復帰するために大切なこと

大人の引きこもりについて

厚生労働省が2010年に公表した「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、「引きこもり」とは、さまざまな結果の要因として社会的参加(就学・就労・家庭外での交遊)を回避し、6カ月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態のことを指します。現象や状態を指す言葉であるため、その人を表す言葉ではありません。その上で、引きこもりは「生きるためのエネルギーを貯めている充電期間であるととらえることが大切」と提言されています。

内閣府のこども・若者の意識と生活に関する調査結果によれば、引きこもり状態にある人は2023年時点で推計146万人とされています。そのため、政府も引きこもりの支援に力を入れています。

出典:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン
出典:厚生労働省「ひきこもり支援施策について

引きこもりの人によく見られる症状

引きこもりの人には、下記のような症状がよく見られる場合があります。

  • 不眠や過眠などにより、昼夜逆転の生活
    睡眠障害やうつ病の可能性があるため、生活リズムが崩れてしまいます。
  • 倦怠感が続いたり、今まで楽しめていたことが楽しめない
    うつ病の可能性があり、無気力で何も手につかない状態になります。
  • アルコールやギャンブル、ネット、ゲームなどへの依存や執着がある
    それぞれの依存症の可能性が高く、自分一人では断つことが難しくなります。
  • 公共の場や人混みなどで行動することに恐怖や不安を感じる
    社会不安障害を抱えている可能性があるため、外出が困難になります。
  • コミュニケーションが苦手
    ASD(自閉症スペクトラム障害)の可能性があり、人間関係の構築が難しくなります。
  • 忘れっぽい、簡単なミスを繰り返す
    ADHD(注意欠如多動性障害)の可能性があるため、本人の意に反し失敗しやすい傾向があります。

引きこもりの人が利用できる就労支援

就労支援内容として、障害者総合支援法に基づき障害の有無に関係なく利用できるものがあります。ここからは、引きこもりの人でも利用できる就労支援内容について解説していきます。

障害者総合支援法に基づくサービス

就労支援先は次の4種類があります。

  • 就労継続支援A型
    一般企業での就労が困難な人に対し、雇用契約に基づく就労が可能な人を対象に雇用契約を締結した上で、就労の機会の提供及び就労に必要な知識や能力の向上のために訓練を行います。
  • 就労継続支援B型
    一般企業での就労が困難で雇用契約に基づく就労も難しい人に対し、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供、その他就労に必要な知識や能力の向上のための訓練を行います。
  • 就労移行支援
    一般企業に雇用されることが可能な人に対し、生産活動や企業実習などの機会の提供及び就労に必要な能力を訓練し、就職活動の支援を行います。
  • 就労定着支援
    就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練等での利用を経て、新たに一般企業へ雇用され6カ月以上継続して就労した人に対し、以降も就労が継続できるよう企業や医療機関等の連絡・調整、社会生活のさまざまな問題に関する相談、指導を行います。

障害の有無に関係なく利用できるサービス

障害がない場合でも、下記のサービスを利用することで就労支援を受けることができます。

  • ハローワーク
    ハローワークでは自宅にいながらでも簡単に求職活動ができる「ハローワークインターネットサービス」というものがあります。希望する就労条件を入れるだけで簡単に求人検索することができ、オンライン応募も行っているため自宅から自主応募することが可能です。
    https://www.hellowork.mhlw.go.jp/index.htm
  • ひきこもり支援推進事業
    引きこもり専門の相談窓口として「地域専門支援センター」を都道府県及び指定都市に設置しています。相談支援、居場所づくり、ネットワークづくり、当事者会、家族会開催事業など多様な取り組みで、関係機関との連携を活かし一人ひとりの状況に応じたオーダーメイドの支援を行っています。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/index.html
  • 地域若者サポートステーション
    就労に踏み切れない15歳~49歳までの仕事に就いていない人に対し(就学生は除く)、「働きだす力」を引き出し職場に定着するまでの支援を行う厚生労働省委託の支援期間です。対人スキル講座や就業体験などさまざまな就労プログラムを通して就職支援を行います。
    https://saposute-net.mhlw.go.jp/
  • 生活困窮者自立相談センター
    働きたくても働けない方、住む場所がないなど生活面で困窮している方の生活全般の困りごとについて、地域ごとに相談窓口が設置されています。専門相談員が寄り添いながら、関係機関と連携して解決に向けた支援を行っています。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html
  • ジョブカフェ
    正式名称を「若年者のためのワンストップセンター」と言い、地域の特性を活かした職場体験や就職セミナー、カウンセリングや職業相談などさまざまなサービスを行っています。通称「ジョブカフェ」という名の通り、カフェ気分で利用することができます。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/jobcafe.html
  • 就職エージェント
    自分専任のエージェントが個別面談にてご本人の性格や強みなどをヒアリングし、本人の特性を活かした企業先の紹介や選考の日程調整を行い、就職内定までサポートを行います。

おすすめは就労移行支援の利用

就労支援のサービスは多種類ありますが、総合的に判断すると就労移行支援がおすすめです。

ここからは就労移行支援のサポート内容について詳しくご紹介します。

サポート内容

事業所によっても異なりますが、就労移行支援では主に下記の内容で支援を行っています。

  • 就労に向けたトレーニング
    ビジネスマナーやコミュニケーショントレーニングの基礎、Microsoft365などのPCスキルの習得など基礎から実践までを訓練しています。
  • 職場見学・実習
    職場見学を行うことで就労イメージを養うと共に、職場の雰囲気や自分に合った業種や職種であるかを確認することで、就職後のミスマッチを未然に防止することができます。
  • 就職活動・面接練習
    企業探しから面接練習、面接対策など就職をするまでのサポートを行うのも就労移行支援の役割です。多種の困りごとや課題ごとに面接の事前準備や対策ができるのも就労移行支援だからこそできるサポートです。
  • 定着支援
    就職後も、原則6カ月間は定期的な面談を実施し、職場により長く定着できるよう支援を行っています。利用者が自立して就労していけるまで支援を行います。

対象者

就労移行支援の対象者は、下記のとおりです。

  • 18歳~65歳までの一般企業への就労を希望する方
  • 障害や難病を抱えている方

例:
▶アスペルガー症候群や自閉症(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)など発達障害をお持ちの方
▶うつ病や適応障害、統合失調症などの精神疾患をお持ちの方
▶知的障害や身体障害をお持ちの方
▶障害者総合支援法の対象疾病(366疾病)をお持ちの方など

その他、障害者手帳がなくても医師の診断書などを元に自治体の判断によって利用できる場合があります。

利用料金

就労移行支援は障害福祉サービスのため、利用料金は世帯収入によって決まります。ここでいう世帯とは、本人と配偶者までを指します。そのため親は含まれません。

自己負担額は上限があり、収入の区分によって決まります。区分や上限額については、厚生労働省の下記サイトで確認可能です。
厚生労働省「障害者の利用者負担

就労移行支援利用者の9割前後の人が、無料で利用しています。通所する際の交通費については自己負担となりますが、一部の自治体では通所交通費の助成を行っている場合もあります。

就労移行支援では就労するために必要な訓練を行っており、労働活動を行っていないため、通所するにあたってもらえる賃金や工賃などはありません。

利用の流れ

就労移行支援を利用するまでの一般的な流れは、以下の通りになります。

  1. 問い合わせ
    まずは、就労移行支援事業所を探します。ウェブサイトからのお問い合わせはもちろん、各自治体や役所にある障害福祉課に相談すると、通うことのできる事業所を紹介してくれます。
  2. 見学・体験
    利用したい事業所が見つかったら、実際に足を運んで見学や訓練内容の体験をしてみましょう。就職の相談や、どのようなことを行っているのか、雰囲気が自分に合っているかなど、ウェブサイトの情報だけでは判断がつかないことも、足を運び自分の目で確認することでわかるようになります。不安点や疑問など直接スタッフへ質問もできるため、利用後のミスマッチを防ぐことにもなります。
  3. 受給者証の申請・発行
    利用する事業所を決定したら、入所手続きを行います。障害福祉サービスを利用するには、その証明となる「受給者証(障害福祉サービス受給者証)」が必要となります。この受給者証の中には、個人情報のほかサービス内容や自己負担限度額、利用日数などが記載されています。受給者証発行まで、自治体によっては1~2カ月かかる場合もあるため、担当者と相談しながら早めに手続きを進めましょう。
  4. 利用契約
    受給者証の発行が完了したら、事業所と利用契約書を取り交わすことで契約成立となります。
  5. 利用開始
    スタート時期やタイミングなどご本人と相談し、当施設のご利用開始となります。

引きこもりの人が就労移行支援を利用するメリット

引きこもりの人が就労移行支援を利用するには5つのメリットがあります。

  • 仕事に必要なスキルが身につく
  • 自己管理ができるようになる
  • 就活全般をサポートしてもらえる
  • 障害の専門家のサポートが受けられる
  • 企業からの信頼を得やすくなる

それぞれ詳しく説明していきます。

仕事に必要なスキルが身に付く

就労移行支援の訓練内容には、ビジネスマナーや報連相などのコミュニケーションの訓練、就労に必要なMicrosoft365など基本的なPCスキルなどの習得を行っており、即戦力として就労できるよう実践訓練も行います。事業所によっては、プログラミングや簿記など専門性に特化し資格取得を目指すところもあります。

自己管理ができるようになる

安定就労するためには、生活リズムや生活習慣を安定させたり、ストレスコントロールやセルフケア、金銭管理など自分自身で管理できるようにしていかなくてはなりません。長く安定して働き続けるために必要な「調子やペースを崩さないスキル」や「調子が悪いときに乗り切るスキル」などが訓練を通して身に付けることができます。

就活全般をサポートしてもらえる

自分の強みや特性などを考慮し、自分に適した仕事の探し方を支援員が一緒に助言しながら行ってくれます。また、職種への不安や就職後のミスマッチをなくすため、職場見学や企業実習などにも行ってくれます。これにより、応募前に職種の適性や職場の雰囲気などが把握できるでしょう。

履歴書の書き方や添削なども行っているため、採用されやすい履歴書を作ることができます。その他、面接対策や入社時の調整なども行ってくれます。面接に同行してくれることもあるため、自分では伝えきれなかった魅力も企業へアピールしてもらえたり、働くときに必要な配慮を伝えてくれたりもします。

障害の専門家のサポートが受けられる

就労移行支援は、障害や難病を抱える人向けの福祉サービスであるため、スタッフは障害に関する知識が豊富です。社会福祉士や精神保健福祉士といった資格を保有するスタッフが在籍している事業所もあるので、同じ障害でも一人ひとりの特性に応じたサポートを受けることができます。

事業所内の他の利用者もそれぞれ何らかの障害や難病を抱えています。このため、特別な目で見られることなく自分らしく過ごすことができるでしょう。

企業からの信頼を得やすくなる

引きこもりの人が就職活動をする際は「勤怠が安定しているか」という点が重要なポイントになります。本人が「頑張ります」というだけでは説得力に欠けますが、就労移行支援への通所で実績を作ることで「毎日きちんと通所できている」という証明ができるため、企業側も安心して採用することができるのです。

パソコンなどの業務スキルのレベルに関しても、事業所と企業とで話をしてもらうことで入社後のミスマッチも起こりにくくなります。

引きこもりの人が就労移行支援を利用するデメリット

就労移行支援を利用するにはメリットがある一方、以下のデメリットも存在します。

  • 引きこもりに特化したサービスではない
  • 長期間通う必要がある
  • アルバイトは原則禁止されている

ここからはこれらのデメリットについて詳しく説明していきます。

引きこもりに特化したサービスではない

就労移行支援は就職をするために必要な訓練を行う場所ですが、あくまでも障害や難病を持つ人を対象としたサービスであるため、引きこもりに特化した内容やサービスではありません。訓練内容には自己管理や生活リズムの安定など、引きこもりの人が社会復帰をするために役立つプログラムではありますが、個人の状況により異なるため、完全にマッチするとは限りません。

長期間通う必要がある

就労移行支援は転職するサービスではなく、訓練を重ねて就労に結び付けていくため、長期間通う必要があります。最大2年間利用することができますが、一般的には1年前後で就職する人が多い傾向です。習熟度が高い人でも3カ月はかかるため、今すぐにでも働きたいという人には不向きと言えるでしょう。

アルバイトは原則禁止されている

就労移行支援は就職するための訓練を行う場所であるため、働いている状態では利用できません。そのため、アルバイトなどの就労は原則禁止されています。

企業で働くための訓練となるため週4~5日の通所が必要であり、アルバイトとの両立は時間的にも体力的にも困難です。そのため、就労移行支援に通う間は収入が途絶えることになり、生活費の工面が必要になってきます。

※お金がなくても就労移行支援に通う方法については、こちらの記事をご参照下さい。
>就労移行支援に通いたいけどお金がない…通所中の収入源や対処法を解説

引きこもりから社会復帰するために大切なこと

家に引きこもっているその背景には精神疾患などが関係している場合も多く、家族の支援だけでは難しいこともあります。社会復帰するために使えるサービスや支援機関は多々あるので活用していくことが有効です。

専門機関に相談する

先述の通り、引きこもりからの社会復帰には、本人やご家族だけの力では困難な場合も多くなっています。精神障害や発達障害、境界線知能などが原因になっている場合が多いため、適切な医療につながることで、次のステップに進めることもあります。専門機関にはさまざまな支援のノウハウがあるため、自分たちで解決しようとせずプロに聞くことが一番です。

支援制度を活用する

就職活動は精神的にも経済的にも負担が大きいイベントです。自己流で一から求人を探したり、やみくもに面接を受けたりしても遠回りになってしまうこともあります。、

自分一人で頑張らず、支援機関など第三者の力を借りることも必要です。就労移行支援をはじめとする支援制度を利用すれば、自分の課題ややるべきことが明確になり、着実に社会復帰する近道になります。

就労移行支援を見学してみよう!

ノードワークスでは、就職はもちろんのこと、就職活動だけでなく、生涯役立つスキルを身につけることも目指しています。また、就職後は仕事を継続できるよう定期的な訪問や面談サポートなど原則6カ月の定着支援も行っており、安心してご利用いただけます。卒業後にはグループホームという受け皿もあり、自立した生活を送るための施設も充実しております。

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