COLUMN

コラム

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 綾瀬市の魅力
  4. 「何もない街」なんて言わせない。ロケ地として大人気の綾瀬市、そのワケは?

「何もない街」なんて言わせない。ロケ地として大人気の綾瀬市、そのワケは?

ノドワークス綾瀬のある綾瀬市は、都心に近い神奈川県で、かつ「市」という単位では珍しく「駅がないまち」で知られる町です。また米軍の厚木基地があることから、周辺の街より物価も安く設定されています。

しかし近年では、ドラマや映画のロケ地として頻繁に利用されるようになり、映像業界で重宝される街となってきました。このような変化を遂げたのは、一体なぜなのでしょうか。

綾瀬市がロケの聖地となったワケと、知られざるその魅力についてお伝えしていきます。

綾瀬市がロケの聖地となったワケ

これまでは、周囲の街と比べて「何もない街」と言われてきた綾瀬市ですが、ドラマや映画のロケ地として利用されるようになってから、その魅力が徐々に市外でも知られるようになってきました。

理由は、綾瀬市の街並みが「どこにでもある風景」であり、「何もないを魅力に変える」ことができたからだといいます。
この魅力を大きく打ち出すことができたのは、官民が一体となってロケ地としての受け入れ体制を確立していることが大きく影響しています

「ここでないと撮影できない」特別な名所や観光地があるわけではなく、「どこにでもある風景」を売りにしているため、“要望に柔軟に答えてくれる窓口”を設置したことは映像業界の支持を獲得する上で大きな要因となりました。
その要望に答える窓口というのが、綾瀬市と住民組織「あやせブタッコリ~ロケ隊」(通称:ブタロケ隊)がタッグを組んだ「綾瀬ロケーションサービス」です。

制作会社からの要望のほとんどは、特定の場所を指定されるのではなく「こんな感じの場所ありますか?」といった漠然とした内容になります。
要望を受けると、まずは市役所がすでに登録されているロケ地リストから候補を選びます。それでも適切な場所が見つからない場合には、ブタロケ隊のメンバーが候補地を探しにいく、という流れになっています。

ブタロケ隊は他にも、ロケ弁の手配をしたり、当日の撮影現場での交通誘導、見学者への注意喚起、協力してくれる施設や商店の普及を推進したりと、幅広く精力的に活動しています。
また、380人を超える人が綾瀬ロケーションサービスに市民エキストラとして登録しており、なんと厚木基地の米海軍もエキストラとして撮影協力をしているのだそう

多方面において映像業界への受け入れ態勢が非常に強化されていることが、綾瀬市がロケの聖地となった大きな要因です。

綾瀬ロケーションサービス(綾瀬市公式ウェブサイト)

ロケ弁の手配も充実。綾瀬グルメの魅力

綾瀬市がロケ地として重宝されるようになった理由の一つとして、「食」は多いに関係しています。

ブタロケ隊は、映画やドラマの現場では欠かせないロケ弁の手配や炊き出しなども行っています。その中でも特に「あやせとんすきメンチ」は、撮影スタッフや出演者への差し入れとして非常に人気のあるグルメです。

これは綾瀬の郷土料理「豚すき」の旨みを凝縮した、綾瀬産の豚肉を贅沢に使ったオリジナルメンチカツで、ブタロケ隊が3年かけて開発したオリジナルグルメです。今では、綾瀬市を代表する名物グルメとなっています。
ロケ誘致のために新名物まで開発してしまうという、ブタロケ隊の本気度が伺えるエピソードです。また、綾瀬市では市内の飲食店や商店も、ロケ誘致のための取り組みに積極的に協力しています。

ロケ弁を提供しているお店も多くあり、綾瀬の特産品やそのお店でしか味わうことのできないロケ弁を楽しみにしている撮影スタッフも多いといいます。

「あやせとんすきメンチ」取扱店(綾瀬市公式ウェブサイト)

5年で100作品超え。
綾瀬市が舞台となった主な作品

それでは実際に、綾瀬市が舞台となった主な作品を紹介します。

関ジャニ∞メンバー主演の映画『エイトレンジャー』

関ジャニ∞メンバー全員が出演している作品で、他出演者もベッキー、前田敦子、竹中直人、東山紀之など豪華な面々だったことから非常に話題の作品となりました。スタッフ総勢60名の大所帯で綾瀬市に訪れ、主に綾瀬市役所内をふんだんに使用した撮影が行われました。

嵐メンバー主演映画『ピカ☆★☆ンチ』

嵐メンバー5人全員が出演した、ファンにはたまらない映画作品でした。

そのほか、SMAP、V6など、イケメン人気グループのメンバーが出演する話題作が続々と綾瀬市で撮影されたことから、綾瀬市では「イケメンの集まる町」というキャッチコピーも生まれました。

「イケメンのいる町」ではなく、あくまで「イケメンが集まる町」という部分が肝となっており、自虐的な要素を含んだ面白みのあるコンセプトは、綾瀬の人々にも広く受け入れられました。

綾野剛&小栗旬の最強タッグドラマ『コウノドリ』

2017年に行われた「ロケ地ツアー in綾瀬市役所」では、同作品で綾野剛さんと小栗旬さんが座ったベンチで写真を撮ったり、撮影の裏話を聞いたり、出演者も味わった綾瀬のロケ弁やあやせとんすきメンチを試食するなど、ファンにはたまらないツアーが行われ大盛況となりました。

GLAYのミュージックビデオ『HEROES』

同作品では、東山公園、綾瀬スポーツ公園第二野球場、有限会社庄内工業、斎藤樹脂工業株式会社、個人宅などが使用され、「オール綾瀬ロケ」で撮影が行われました。

『恋はつづくよどこまでも』

佐藤健さん主演の大人気恋愛ドラマ。綾瀬市役所中庭のベンチが病院のベンチとして度々登場したことから、同じベンチでドラマのシーンを再現し、写真を撮るファンが後を絶たないといいます。

その他、綾瀬市ではこれまでに150を超える作品の撮影が行われています。

ロケ地として特に人気の場所

綾瀬市の中でも、特にロケ地として多く利用される場所がいくつかあります。多くの作品で利用されている場所なので、ロケ地巡りを検討される方にとっては外せない場所になると思います。

綾瀬市役所

綾瀬市内でロケ地として最も重宝されている場所が、市役所です。綾瀬市役所は、ある作品では病院、またある作品では警察署や学校など、作品によって変幻自在に場所の設定が変わっています。非常に素朴な外観・内観が、さまざまな用途で利用できる要因となっているようです。
市役所内には、過去作品のポスターやロケ地マップなども置かれているため、ロケ地巡りには欠かせない場所となりそうです。

大松/もつ焼き

こちらは綾瀬が誇るもつ焼きの名店。昭和49年創業で、2012年にお店をリニューアルしましたが、メニューもお客さんも昔のままに、味のある趣が特徴です。

城山公園

城山公園は、市内で2番目に大きい公園です。バーベキューのできる炊事棟や、約70種類約600本のバラの咲く花木園、市内最長ローラースベリ台のある遊具広場などが設備としてあり、自然豊かな環境と広大な広さを誇ります。

市役所以外の2箇所を見ると、確かに一見どこにでもありそうな焼き鳥屋さん、公園ではありますが、どこか味があり、またすぐ見つかるようで、他ではなかなかロケ地として交渉するには難しそうなスポットであることが想像できます。

すでにロケ地として何度か利用され、市役所にも登録されている場所であれば、わざわざ交渉する必要がありません。また、一通りの流れにも慣れているため、ロケスタッフとしても安心して利用できるお墨付きのあるスポットなのだと言えます。

ロケ誘致の効果は絶大

これまでの市一体となった涙ぐましい努力の効果は絶大で、綾瀬ロケーションサービスが開設された2014年から現在まで、映像業界からの問い合わせは1800件以上、これまでに150作品以上の撮影が実現しています。
2016年1月には、綾瀬ロケーションサービスがまちの観光を活性化させた作品と地域に贈られる「第6回ロケーションジャパン大賞」で特別賞を受賞。当時は、発足から2年足らずで問合せ400件超、撮影決定作品50件という結果について、「町をあげてのサポート体制による驚くべき成果」と評されました。

綾瀬市全体としては2018年に、観光庁が主導する第1回の「ロケツーリズムアワード」を受賞。町一体となり熱意を持って100近い作品の撮影を実現させ、全国のファンが訪れるロケの聖地に育っていたタイミングで、「国が進めるロケツーリズムの先進地」と評価されました。

財務省横浜財務事務所が調査した、2014年度に活動を本格化した綾瀬市について直接的、間接的な経済効果や広告換算効果をまとめたリポートでは、経済効果を20年度までの累計で計約3300万円と算出。広告換算効果は約91億円とはじかれています。

また、前述の通り「イケメンの集まる町」としてイケメン人気グループのメンバーが出演する話題作が次々と撮影された際には、そのPR効果は広告料に換算すると26億円にものぼりました。数字換算すると、ロケ地誘致が以下に大きな効果をもたらしたかよくわかります。

他、市民エキストラは380人を超える人が登録し、年々増える市内の「ロケ地看板」などの存在から、綾瀬市民の中でもロケの聖地としての誇り受け入れ態勢は年々強化されています。

ロケ地看板、ロケ地MAP(綾瀬市公式ウェブサイト)

ますます注目される綾瀬市。今後の展望は

これまでの項目から、綾瀬市がロケの聖地として認知を得ることができた理由をまとめると、以下になります。

  • 市役所で一本化された官民一体の窓口体制を確立した
  • 特別な観光スポットや駅がなくても、日常風景に使用しやすい公共施設や商店、田畑、住宅などが揃っている
  • 撮影スタッフや観光客への抜かりないおもてなし
  • 住民含め市に関わる人々がロケ地として認知されることを前向きに捉えている

つまり、映像業界の人たちにとって最高の環境を作り上げていたからこそできた「ロケの聖地」という称号であり、綾瀬市民の人柄や団結力によって、元々持っていた町の魅力を存分に活かせた結果だということがわかりました。
今後は、現在の社会的状況から混雑を避けた旅行のニーズが高まる中、ロケ地巡りを主な目的とした観光客が徐々に戻ってくることが予想されます

また、同じくロケ受け入れ体制を構築している同県内の湯河原町も、ドラマ「ハレ婚。」やバラエティー「モヤモヤさまぁ~ず2」などのロケが実施され、徐々に観光客増につながっています。このため、ロケ地を求めた観光客が両町への行き来を行うことも期待されています。

今後益々ロケ地としての認知、魅力が増していくことが予想される綾瀬市。少しでも綾瀬という町に興味を持っていただけたでしょうか?好きな映画やドラマの作品があれば、ぜひロケの聖地巡りに訪れてみてください。

その作品だけでなく、市民性や町の雰囲気などにもきっと魅力を感じていただけると思いますし、この町に関わって生きていきたい、そう感じていただけるのではないでしょうか。綾瀬市を訪れるひとつのきっかけになれば幸いです。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事